2019年7月23日火曜日

ウイスキートーク2019

毎年6月の福岡はウイスキートークですよね。
そんな訳で一ヶ月ほど前ですがウイスキートーク福岡に今年も参加してきたので今回はそちらのレポートです。


今回も3階はイベントとセミナー、4階はインポーターやバーといった並び方。
去年と同じだったので今度からこういう形になるんでしょうかね。去年の印象ではインポーターがメイン会場だとゆっくり選べないのが嫌だったのですが、今年は意外と人の流れがスムーズだったのでそこまで違和感は感じませんでした。

12時開園で11時過ぎには多くの人達が並んでいました。
皆さん、お目当てのボトルがあるんでしょうね。自分は5月の鹿児島旅行で使い込みすぎたので今回は応募分だけで、有料試飲とセミナーのみと決めてたので急ぐ必要は無かったのですがとりあえずやることも無いので並んでいました。


今回は10周年と言うことで今までの応募ボトルがすべて有料試飲で飲めると言う太っ腹企画('ー')


12時になって開園したので、とりあえず最初に飲みたいものはスタチューシリーズのリトルミルとイチローズモルトのオオカミを。両方ともに、ウイスキーを飲み始めた数年前に飲んで感銘を受けた一品だったのですが、改めて飲んでみたくて注文した次第。以前と変わらず美味しかったです。個人的にはお安いリトルミルの方が好みでしたね。

ザッと回って、試飲を色々と試す前に応募ボトルの記載をすることに。
今回は7種類。個人的に応援したいベンチャーウイスキーとマルスにチェック。そして完全にラベル買いでビックピートの博多バージョン。


ラーメンの暖簾にピートおじさんはズルすぎるw これは買うしかない・・・('ー'
ちなみに試飲した印象ですが、ぶっちゃけ1万の価値はないかなと思いました。でも良いんです。味も大事だけど、ラベル買いもアリや。

今回はセミナーを二つ受講するため周回時間がかなり限られていたのでサクッと見て回りました。


北陸ウイスキークラブさん。
有志の集まりから派生した愛好家団体との事ですが、ちょっと度肝を抜かれる安さです。いつまでもここで飲んでいたい誘惑に駆られますね。プレステージ25年が500円で飲めるとか有難いのであやかりましたw


小正醸造さん。
5月の鹿児島旅行の際にお邪魔した嘉之助蒸留所です。ウイスキーとして売り出されたら、また行ってみたいですね。ジンもすっきりとして好きですね。


グレンファークラスのブースもありました。
1986の試飲をするつもりだったのに忘れてしまったのが残念無念。でも、日本はまだ未発売の次期バッチを先行輸入したとの事で、そちらの飲み比べはしておきました。


12年と21年なんですが、ぶっちゃけ12年の方がファークラスらしい印象がありました。
ファークラスと言ったらシェリー樽にコダワリがある印象なのですが、21年の方はシェリーの主張が穏やかで全体的にテクスチャをまとめた綺麗なお酒といった印象。繊細な味が好みな方向けな印象がしました。


今回のセミナーでバー呂仁の巽さんが出席されるからか、同バーからも出展が。


オールドクロウのボトルが可愛過ぎ・・・
オールドフィッツジェラルドも1000円で試せるとあっては試さない訳には行かないですね。どちらも濃くて美味しいバーボンでした。


Black&Whiteのオールドも。珍しいティンキャップですね。これも試しましたが、意外とフルーティな味わいがしっかり残っていてとても良い状態の一品でした。


以前ブレンデッドのウイルソンの記事でも書いた”Federal Law forbids sale or reuse of this bottle”のエンボス入り。これで1935年から70年位までの間にアメリカで販売されていたスコッチだと言うことが分かります。アメリカに縁が深い巽さんらしいチョイスですね。


そしてセミナーで出す禁酒法時代のバーボンは未開封との事で、開けてるところを見せていただきましたが大事なところを写真撮りそびれてしまいました・・・。コルクの部分を360度全方向から10本近くのマチ針を刺して丁寧に抜いていく手法です。バーテンダーさんはあの手この手で綺麗に抜く方法を編み出すんですね。こんな方法は初めてで驚かされました('ー')

ただ、やはりオールドボトルを抜栓をする基本中の基本は中の空気が陰圧になっていることを踏まえ、最初に外の空気を取り込ませる点については同じのようでしたね。



セミナーでおなじみな山岡さんの出展ブース。
毎年貴重なモルトを格安で出してくれています。


中でも一際異彩を放っていたのがこちら。
なんと100年前のTeacher's。ラベルもぼろぼろに砕けてしまっているので、中身を検証できる材料は無く、信じて飲むしかないと言う代物。こんな面白い出物を試さない訳にもいかず、一杯頂いてみましたがこれが中々美味しい。適度にフルーティな感じが残っていて、それでいて前面に出てくるスモーキーフレーバー。100年前もTeacher'sはスモーキーなスコッチだったんだなぁと思わされました。

そんなこんなで色々なブースを回っていましたが、今回もセミナーに参加したのでそちらの方の紹介です。


まずはベンチャーウイスキーのブレンデッドウイスキーに関するセミナー。
ベンチャーウイスキーといえばジャパニーズウイスキーの名声を世界に轟かせたイチローズモルトで有名な肥土伊知郎氏の会社。従業員は真性のウイスキーオタクばかりだといわれる業界で知らない人はいない飛ぶ鳥を落とす勢いのウイスキーメーカーです。そんな同社ですが毎年セミナーをしているのに一度も参加したことが無かったので今回参加してみることにしました。講師はウイスキートークでは毎年おなじみの吉川由美さんです。


イチローズモルトといえばワールドブレンデッドとして自社のウイスキーと輸入した原酒を合わせて売っているウイスキーが有名です。今回の試飲は輸入原酒と秩父の原酒、そして販売されているブレンデッドの加水前の一品の5種類。自分たちで本物の構成原酒を飲み比べつつ、同社のブレンデッドがどうやって作られているかを聞く趣向。輸入原酒に関しては契約上の問題として発表は出来ないとの事。


内容としては「何かイチローズモルトって言う凄いウイスキーを造っているところがあるらしい」くらいのレベルで参加しても全然楽しめるものでした。そして試飲は試飲でかなりレベル高い代物なので、同社に興味がある人なら誰でも等しく満足出来るような内容でしたね。


輸入原酒に対するこだわりも大変強いそうで、同社の社長である肥土伊知郎氏は原酒を求めて世界中を巡っているので蒸留所にいない事も多いとの事。


樽職人(クーパー)まで自前でこなすのだそう。
本当にウイスキーマニアしかいないんですかね・・・('-';

今でこそ玉数が少ないせいで値段が高めなイチローズモルトですが、第二蒸留所を建設中との事で、こちらが稼動して安定供給出来るようになったら美味しいウイスキーを安価に出せるようになるだろうとの事。期待したいところですね。

単に輸入した原酒に自社の原酒を混ぜて売るという事一つにも、自分たちなりのコダワリをいれていかなければいけない、と言う確固たる意志を感じさせられる話でとても素晴らしいセミナーでした。値段も手頃なので、興味のある方は是非:)




続いて、ROGIN'S TAVERNことBar呂仁の巽誠一郎さんのセミナーです。
日本にバーボン文化を広めた第一人者として有名な方で、自分が以前飲んだバーボンの中で衝撃を受けてバーボン党に鞍替えしたキッカケがROGIN'S CHOICEと言う呂仁のオリジナルボトルだったので個人的にはワクワクしながら参加しました。


1956年のBellows club bourbonと、ペンシルヴァニアで蒸留された1970年のOld Overholt、これに禁酒法時代(1920-1933)のバーボン三種類からどれか一つをくじ引きで選んだ計三つが試飲可能。自分は三番目の医療用ウイスキーでした。まぁ禁酒法時代は基本医療用ですが。そんなこんなでトークが始まった訳ですが、しばらくしてせっかくだからと・・・


オールドテイラーのオールドボトルに・・・


オールドクロウのオールドボトルに・・・


禁酒法時代のオールドテイラーと、立て続けにプラス三杯が振る舞われるという太っ腹ぶりw
最初の三杯でも十分に講習代の元を取れるヤバいラインナップなのですが、ここまで来ると破格も破格です。今後、こんな値段でこのクラスを試飲できる機会は来ないでしょう。

トークの内容はザックリと昨今のものから禁酒法時代のものに至るまでのバーボンに関する歴史や美味かったバーボンに関する雑談といった感じでした。キリンがフォアローゼスのオールドプレンティス蒸留所を買収した比較的最近の経緯や、70年代の蒸留所の統廃合が始まる少し前の様々な聞いた事もないような蒸留所の名前まで含まれた蒸留所のリストを見ながらの蒸留所の変遷、そして禁酒法時代の歴史など。当時の貴重な資料のコピーも頂いて、それを見ながら時代に思いを馳せつつ飲むといった趣向です。

禁酒法時代は敬虔なキリスト教徒であるメソジストやプロテスタントなどが飲酒を問題視していて、そういった人達が作った政治団体、Anti-Saloon League(反酒場連盟)が影響力を行使していた時代です。そのAnti-Saloon Leagueに関する古い書籍から、禁酒されている地域とされていない地域とを比較する"Wet" and "Dry"Mapを見ると、禁酒法以前から禁酒が義務である地域が意外と多かった事にも気付かされてとても面白かったですね。

余談ですが、禁酒法時代のバーボンは殆ど外れなかったとの事ですがI.Wハーパーだけはナフタレンみたいなおかしな味がするという話、自分が行きつけの店で地雷として頂いたものもI.Wハーパーだったので、禁酒法時代のハーパーは地雷が多いのかもしれませんね。

色々と学びも多く、滅茶苦茶美味いバーボンもたんまり飲める充実した内容でした('ー`)



最後は参加者の皆さんが集まって座談会。これも毎年の事ですね:)
そんな訳で今年も充実した内容でした。来年以降も参加したい所です。

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