2016年10月20日木曜日

スコットランド・アイラ島旅行記 3日目


今日はBruichladdichとKilchoman、Bowmoreを回ります。

例によって時差ボケでまだ日も昇らない朝5時頃に起床。
シャワーを浴びたりして時間を潰して、明るくなり始めた6時30分頃に早朝のBowmoreを歩いてみることに。


さすがに早朝で静かですが、自分のように写真を撮ったりしている人もいました。Bowmore蒸留所の方を改めてみると沢山の海草が打ち上げられていて、近付いてみると強い磯の香りがしました。これがピートになって、Bowmoreの磯の香りになるんでしょうか。



早朝のBowmore蒸留所にタンクローリーのようなものが入っていきました。モルトが積まれているのかもしれません。早朝にも関わらずBowmore蒸留所は稼動しているようで、湯気が立ち込めていました。


Bowmore唯一のスーパーです。メインストリート添いにあり、朝7時から開店。
食料など、必要なものは大抵ここで揃います。入り口横にATMが一つ備え付けられていました。



食事の時間なのでホテルへ。とりあえず定番のフルブレックファストを。
最初のホテルで食べたBlackPuddingは気分が悪くなりましたが、ここのは普通に食べられました。トマトも良いつけ合わせですね:)

そうこうしている内に迎えの時間です。朝9時にChristineが迎えに来てくれました。
夕食の事や街の事など、英語が苦手な自分にも積極的に優しい英語で色々と話してくれるから助かります。


まずは少し時間があるからとPort Askaigへ。
「Port Ellenよりは小さな港だけど、Juraに行くならここからね」とのこと。



対岸にJura島が見えました。
1984で有名な作家のジョージ・オーウェルが、島のあまりに素晴らしい光景に感激して人生を終える為の場所として選んだ事でも有名ですね。アイラ島民にとっては富士山と同じなのだそうです。


港から車で少し走ったらCaol ila蒸留所に到着。
実は出発直前ぎりぎりになって「カリラは見学する時間が無くてもビジターセンターに寄るだけでも・・・」とお願いしてみたら旅程に入れてくれました。この辺がプライベートツアーの嬉しい所ですね。せっかくなので写真を一枚。


外からポットスチルが見えますね。反射で見えにくいですが、見えるでしょうか?

Caol ilaの見学も・・・とお願いしていたのは、アイラフェスティバルのボトルがここでなら買い易い、と事前にネットで情報があったからです。自分の意図を汲んでくれたのか、Christineも「アイラフェスのボトルがあるかもしれない」と言ってくれました。

ところが、現地についたらモノは置いてあったのですが、なにやら売れない様子・・・。
Christineがビジターセンターの店員さんに交渉してくれているのを横目で眺めていましたが、英語力が低いので早口の会話が聞き取れず・・・。とりあえず無理みたいだと言う事が分かったので諦めることに。Lagavulinにも限定ボトルはあるそうなので、それならとカリラを後にする事に。



帰る直前に、Caol ilaのウィスキーキャットと遭遇。
「貴方、この子と出会えるなんて運が良いわよ!」とChristine。何でもこの猫は昔、Christineがこの蒸留所にいた時に飼い始めた猫らしい。


ちなみに名前はスシですw
Christineは大の日本好きなので、この子の名前をスシにしたそうです。毛並みの荒れ方から、結構な高齢の猫に見えました。でも、人馴れしているようで触らせてくれました:)


次の目的地に向かう途中です。
そういえばスコットランドは本当に天候が変わり易いと感じます。Caol ilaの時は曇り模様だった天気がわずか30分そこらの間でこんな晴れ間に。逆に朝は快晴だったのに、昼にはどんより曇り模様って事も良くありました。

あと、アイラ島では車がすれ違うたびに手を振って挨拶するのが慣例のようで、お互いが手を振っているのが印象的でした。すれ違うたびに「あれは新しい蒸留所の誰々さんね」とか、「あの人は最近島に移ってきたドイツの人ね。車のナンバーが違うでしょ?」といった感じで島民達の距離の近さが暖かさのようにも感じられました。

(そういえば聞き間違いかもしれませんが、Christineは新しい蒸留所の事をガートブレックとは呼んでいませんでした。名前は失念しましたが…)



アイラ島で初めての蒸留所見学はここ、BruichLaddichです。
Bruichladdichの青色は蒸留所のトレードカラーで、アイラの海や空の色をイメージしたと以前見たWOWOWの番組でスタッフの方が言われていました。そんなイメージカラーが見事にマッチしたような見事な快晴だったので、ちょっとテンション上がってきます:)


到着して5分ほどでツアーが開始です。
まずはミルの説明から、モルトを粉砕していく行程の説明ですね。


マッシュタン(糖化槽)で糖化を促していく作業ですね。理屈は分かるんですけど、ここまで大きいと管理が大変なんだろうなぁ・・・と思いつつ眺めていました。


酵母を入れてアルコールにするウォッシュバックの行程ですね。
生産途中のウォッシュを飲ませて頂きました。山崎蒸留所だと飲ませて貰えなかったから、ちょっと感激です。炭酸の抜けたなビールって感じでした。


ポットスチルは上部、下部で二階建てになっているようで、メンテナンスがしやすいような構造になっている様子。こういう建物の構造は分かってる人が最初から設計する必要があるのでしょうね。


透明なニューポットがドバドバ出ていました:)
スチルマンの人がスピリットセーフを何やら操作していましたが、これがカッティングなのでしょうか。



ふと見上げたらBruichladdichのジンのポスターがででーんと。
ジンはあまり詳しくないのですが、いつか機会があったら吞んでみたいですね。



最後に貯蔵庫に案内してくれます。冷涼で静かな場所でした。
貯蔵庫の雰囲気や空気はやはり山崎蒸留所のそれと似ている感じです。こういう空気の中で熟成されていくんだなぁ・・・と感慨深くなりました。


「サミーへ。お前がモルトの味を開発するときのために・・・ これの幾らかはお前のものだ。いつも愛している、父より」ってとこでしょうか。これを見つけた時、ちょっと感激しました。素敵な会社ですね。Bruichladdichはアイラ島での雇用を第一に考えていると、Whisky Magazineだかでジム・マッキュワンが言っていましたが、親子が世代を超えてウィスキーを育んでいる…なんて事もあるのでしょうね。


ツアーが終わったらショップでお買い物です。
品数は結構揃ってますね。ボールペンとヴァリンチの一本を購入。


蒸留所に関わった人々のライブラリーから。ジム・マッキュワンの姿も見えました。


タクシーの番号が全員個人名なのはユニークですねw


ショップにはヴァリンチ用のシェリーとバーボンの樽が一つずつ置かれています。
お金を支払ったら700mlの空瓶を渡されるので、それに自分で詰めて封をしてもらいラベルを貼ります。今回はシェリー樽の方にしました。後で飲むのが楽しみです:)


蒸留所を後にして少し車を走らせていたら、ハイランドカウを発見。
ちょっと逆光なのが残念ですが、興味津々でこちらを見ていました。可愛いですね:)


車を走らせていると、Christineが「貴方、大西洋は見たことある?」と聞くので無いと答えると、「じゃあ、素敵な所があるから行ってみましょう」と、海辺の方に車を飛ばしてくれました。初大西洋です:)


砂浜は凄く綺麗で、散歩を楽しんでいる人たちがチラホラ。この位の快晴だと、風が強くてもあまり気にならないですね。


次はKilchomanです。ここでは蒸留所見学はなし。レストランがあるのでここでランチにする事に。


Rabbie'sのツアーの車が止まっていました。先にランチに来ていたようです。Christineのツアーが出来なかったら、恐らくこのツアーを利用していたでしょうね。


レストランに行く途中に蒸留所の脇を通っていたら、Christineから「少し見ていったら?」と。勝手に入っちゃって大丈夫かなぁ・・・と思いつつ躊躇していると、「大丈夫大丈夫!こっちに来なさい」と、唐突に簡易ツアーが始まりましたw


Kiclhomanのフロアモルティングです。床一面に敷き詰められていました。中央の鋤を使って攪拌していくんですね。Kilchomanは一番後発の蒸留所なので、まだ熟成期間が長い商品は存在しませんが、その製法は堅実だと定評があります。


ポットスチルも並んでいました。くびれやかぶとの形が微妙に違いますね。


少し小さい形状のものも。銅製のポットスチルはやはり近くで見るとカッコいいですね。
ちょっとテンション上がっちゃいますw


少しずつニューポットが出ていました。左の方は少し黒い液体があったのですが、これは蒸留過程で生じるというヘッドの部分のような美味しくない成分なのでしょうか・・・


Kichomanのショップはレストランと併設されていて、とても綺麗で品揃えも豊富です。
Christineは「ここはマーケティングが上手」と言ってましたが、確かに立ち寄りたくなるようなアイラ島のグッズに、美味しい食事と非の打ち所がありませんね。ここで帰りにクェイクを買おうかと思っていたのですが、酔っ払って忘れてました(汗


黒板も手書きでしょうか。
ちなみに、偶然日本人のカップルの方とお会いして、少しお話をしました。東京の方だそうで、やはりウィスキーが好きでアイラ島に来られたのだそうです。やっぱり行きたくなりますよね:)


奥にはKilchomanのNew Spirit Bramble Liqueurが並んでいました。
説明文を読んだ感じだと、ウィスキーに浸して柔らかくしたブラックベリーで作ったリキュール、でしょうか。まだ10年少しの若い蒸留所だから、あの手この手で資金を調達しながらウィスキーを作るのでしょうね。ウィスキーの生産だけだと出荷するまでの間、ずっと無収入でしょうから。


ランチは本日のスープ。朝のフルブレックファストが結構重たかったからコレくらいで丁度良かったですね。


一緒にアイラ島限定のアイラエールを。
幾つか種類がある中で、ここはやはりKilchomanのかな、とチョイス。いかにもアイラ島産らしい強いスモーキーフレーバーのエールで、アイラモルトが好きな人ならきっと気に入ると思いました。


食後にトイレに寄った時の一幕です。
水道水が茶色w トイレの水も茶色でした。ピート層を通った地下水を使っているみたいですね。飲んでも大丈夫、みたいなポスターが貼ってました。


ランチで満足し、Kilchomanを後にします。のんびりとした牛や羊の放牧を横目に出発です。「幸せそうな羊ね」と言われたので「そうですね」なんて言ってたら、「貴方、昨日この羊食べたのよね」と突っ込まれましたw アイラ島の幸せ羊は大変美味しかったです(^q^


途中で移動式の図書館を発見しました。
先の移動式映画館もそうですが、ヘブリディーズ諸島のように離島に人が散らばっている場所だと、こういう形式の方が利便性が高いのでしょうね。



最後にBowmoreの街に戻ってBowmore蒸留所へ。
ここのCraftman Tourに参加してみたかったんですよね。Christineとは今日はここでお別れ。蒸留所のツアーが終わったら歩いてホテルに帰ります。


ツアーの申し込みをしたら、ミニグラスを首にかけてツアーに参加します。



ツアーの開始時間まで少し時間があるとのことで、1階のお土産コーナーを見て回ったり、2階のバー&ラウンジみたいな空間でのんびりと。

展示品の中でも一際異彩を放っている1957年のBowmore。
お幾らくらいするんでしょうかねぇ・・・('-';

こちらは16000ポンド(210万円くらい)だそうで、Bowmore蒸留所の系列ホテルHarbour Innのバーで飲めるとの事。多分ハーフショットでもちょっとした高価なシングルモルトが余裕で買えるのでしょうね・・・(´・ω・`;)

Black Bowmoreも展示されてました。
こちらもレアボトルとしては有名で、過去3回リリースされていますが、一本70万円~100万円はする代物だと聞いた事があります。WOWOWの番組ではリリー・フランキーさんがDuffie's barで飲まれていましたね。

レアボトルを見ていたらツアー開始との事で、早速参加です。
蒸留所内を軽く案内されるところから。こちらはBowmoreのマザーウォーターでしょうか。ピートで茶色いです。

フロアモルティングです。Bowmoreはやはり蒸留所の規模に合わせて広いですね。本当に一面に大麦が敷き詰められています。鋤で攪拌する作業もやらせてもらえました。結構、重いです。


モルトの写真です。行程を経るにつれ、発芽していくのが分かります。この段階ではまだ水分を吸っていて、シットリとして重いです。でもモルトに手を突っ込んでみると、暖かく感じる。発芽の途中で熱を発生させるんでしょうね。


左手に見えるのがピート。大麦をキルンに入れ、ピートを炊いた煙と熱で大麦を乾燥させて発芽を止めさせます。


イーストストアにも少し立ち寄らせてもらいました。
ネットで調べただけの話ですが、日本の蒸留所は独自のウィスキー酵母を用いる所も多くあるそうなのですが、一方でスコットランドの蒸留所は酵母に関しては専門業者から購入するケースが多いとの事。こちらはマウリ社の酵母ですね。


ケリー社の酵母もありました。この二社がスコットランドでは多いとの話がありましたね。
でも独自の酵母と言っても、かなりの量を使うのだから、日本でも大手はさすがに買うんじゃないかなぁ・・・。酵母つくりも大変でしょうしね。


乾かして発芽を止めたモルトはミルを通して粉砕します。これは他の蒸留所と同じ行程ですね。


粉砕されたモルトはグリストと呼ばれ、細かさで振り分けられます。荒い順からハスク、グリッツ、フラワー。肥土伊知郎さんが編集されたウィスキーの本によると2:7:1が理想的な配合だそうです。左右のどちらかのグリストには強いスモーキーフレーバーがついていたと思います。


グリストはマッシュタンの中で適切な温水と混ざり糖化されます。今は温度管理なんかも機械化されているようですね。


ふとみたらサントリーの文字が。Bowmore蒸留所はサントリーの系列会社、Beam Suntoryの傘下です。


発酵槽、ウォッシュバックですね。
糖化された麦汁に酵母を加え、この中で発酵を促しアルコールを発生させます。


Bowmoreのウォッシュバックには過去の責任者たちの名前が書かれてある、と聞いていましたが、全てのウォッシュバックに違う名前が振られていました:)


スチルポットは初溜2基、再溜2基の計4基ですね。


Bowmore蒸留所ではスタッフの人達が着ている、Beam Santoryのロゴが入った制服が印象的でした。みんな私服だったBruichladdichとはちょっと違う感じですね。


スピリットセーフの鍵でしょうか。随分とゴツイです。
スコットランドではニューポッドの段階で課税の対象になるので、スチルマンがミドルカットをする為に試飲する…といった事が出来ないと聞いた事があります。


冷暗所に保管されているニューポッドを試飲。60数%あるって言ってました。若いお酒だと評価されるようなウィスキーによくある、「辛さ」はコレなんだなぁ…と思わされました。みんな残さず飲んでいたので自分も真似したのですが、これがかなり効いてフラフラしてましたw


最後に、Bowmoreの第一貯蔵庫です。
厳重に二つの鍵で封鎖されてました。


王室のマークがついた樽がありますね。
貯蔵庫の中はとても物静かで、会話が途切れた合間に紛れ込んだ羽虫が電球にコンコンと当たる音がする…、そんな場所でした。


ミズナラの樽を発見。最近、Bowmoreのミズナラが限定で販売されていましたが、これなのかもしれませんね。そして、日本人名が載ってるなぁ…と思ったらサントリーの現社長の新浪さんでした。
"Go for it!"って文字はご本人のものでしょうか。以前雑誌で読んだ新浪さんの前向きなイメージそのものですね:)


樽の開栓もやらせてもらえました。
木槌で栓の周りを叩いて浮き上がらせるのだそうです。自分もやってみましたが、酔っぱらってたせいか見事に手元が狂って栓を叩いてしまいましたw


ヴァリンチで直接樽から吸い上げ、自分のグラスに注ぎます。


18年ものです。
自分で樽から直接グラスに入れる体験は中々出来ないので本当に感激ですね:)


19年ものシェリー樽から。
リリーさんが番組で言ってた、「あー、これ美味い奴だ」ってのと同じ印象でした。香りだけで、顔が少し綻んでしまいますw


この時点でベロベロだったのですが、ツアーの終わりにショップの2階のバーで好きなものをなんでも二つどうぞ、と言われたので。確か18年と24年だったかな。基本的にお酒には弱いのでこの時点でもうヘロヘロでしたw


帰る際にBowmoreの車を発見。ちょっと水墨画っぽくてカッコいいですね:)

この後、酔い過ぎてフラフラするのでホテルで仮眠を取ってました。
実は、牡蠣を食べるためにChristineがHarbour Innに予約をしてくれていたのですが、少し寝過ごしてしまいました(汗

お酒は抜けませんが、牡蠣は食べなければ…と這うようにHarbour Innへ。
問題なく案内されたので、早速牡蠣を注文です。6ピースと12ピースがあったので、6ピースを指さしてコレくださいとお願いした結果…


何故か目前に出される12個の牡蠣(^Q^
しかし、料理を戻すのも面倒だから全部食ってしまおう、と思って頂きました。
ビネガーやレモンも良いですが、やはりここはBowmoreですよね。という訳で、アイラモルトをかけて頂くわけですが、これが格段に美味い!来たかいがありました。量が量なのでビネガーやレモンも試していたら、気づいたらペロリと平らげていました。


Harbour Innは料理が美味い事で知られているので、色々と頼むつもりだったのですが、飲み過ぎてグロッキーになった上に牡蠣を12個も食べたので、Starterでスコッチエッグを一個だけ頼みました。これはこれで美味しかったですね。

明日はもう少し計画的に酔っ払って、美味しい料理も堪能しないとなぁ・・・なんて思いながらホテルへ戻って、即ベッドへ。幸せな一日でした('ー'

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