2019年5月6日月曜日

鹿児島の蒸留所巡り

今日はゴールデンウイークの最終日ですね。
自分も10連休の間にどこかの日本の蒸留所に行きたいと思って色々とプランを立てていたのですが、まぁさすがにどこも高いし混んでいる。という訳で、今回は混んでなくてGW前にプランを立ててもお安く済ませられそうな鹿児島の新規蒸留所を見に行こうという事で、嘉之助蒸留所とマルス津貫蒸留所に行ってきました。

まず、日置市に宿を取って、嘉之助蒸留所の見学をして一泊。次の日に津貫蒸留所を見学して帰るという旅程です。


予想通り鹿児島の方はGWでも途方も無く混んでいるといると言う程でもなく、SAも程よい賑わいでした。


早めについたので日置市内の酒屋さんを散策中、道路の側溝の中に沢山のフナが泳いでいるのを発見。こういうのは風情があって良いですね。ツアーの時間が近いのでタクシーで嘉之助蒸留所まで。市内から片道2500円ちょっとといった所。


嘉之助に到着。三つの樽がお出迎えです:)


いかにも新しい蒸留所というイメージですね。
滅茶苦茶綺麗な蒸留所でした。

ツアーに参加したと思しき男性と入れ違いで受付へ。
予定より少し早かったのですが、時間のツアーが自分だけと言う事でツアースタートです。


明治時代から代々焼酎作りをしていた小正醸造の二代目嘉之助は、米焼酎をスコッチのように樽熟成させたら美味い筈、と昭和32年(1957年)にメローコヅルという商品名で樽熟成焼酎を販売。実に60年近く前から樽熟成を手がけており、同商品は今でも小正醸造のロングセラーとして日置市内の酒屋さんでも現行品が売られていました。


二代目嘉之助は、焼酎の蒸留所の傍にテニスコートやらを併設した小さなテーマパークのようなものをイメージして土地を買っていたとのことで、現当主がその構想を踏襲し、見学できるウイスキー蒸留所として二代目の名前を冠した新規蒸留所を設立したのが2018年。現在の嘉之助蒸留所、と言う流れですね。

そしてレセプションの部屋の扉を開けると糖化槽と発酵槽がお出迎え。

二代目嘉之助のアイデアを踏襲して見学型の蒸留所という構想のせいか、全てのフロアがスムーズに連結されているつくりになっているのも嘉之助蒸留所の面白い特徴ですね。


糖化槽と発酵槽の部屋にはいるとモルトの甘い香りが充満していて、否応が無くテンションがあがりますw

糖化槽は三宅製作所のもので、外からでも中の状況を逐一観察できる造りになっていると説明を受けてナルホドなぁと。普段から作り手の人達がどういう目線でどこを見ているかといった話はあまり聞く機会が無かったので、気軽に聞けるところも好印象でした。



発酵槽は蓋と床が同じ高さ。
焼酎の蔵元で芋焼酎を入れた甕の口と足元の高さが同じになっているのと同様に、焼酎の蔵元らしくこういうスタイルになっているとの事。コレもなかなか面白いですね。

発酵槽について色々と教えてもらったのですが、発酵槽が写真のようにステンレスの場合、中の菌のコントロールが容易で、洗浄も簡単。一方で木で出来ている場合は味に悪影響を及ぼすような菌が繁殖しないようにしつつ乳酸菌なんかを上手にコントロールするといったように、菌の管理が大変だが上手くいけば複雑で特徴的な味わいになるとのことで、発酵槽の素材一つにも作り手の考え方なんかが入ってくるものなのだなぁと思わされました。


酵母はマウリ社のもの。
自家製酵母なんかもコストが下がるし面白そうだから興味津々との事ですが、いかんせん人手不足との事で大変そうでした。


蒸留用のポットスチルは3基。
左側が初溜用、右側が再溜用でランタン型、中央がどちらでもOKというもの。
それぞれ、アームの角度も異なり、下向きだと香気が沢山取れて芳醇な傾向で、上向きだと選択的になりシャープな酒質になりやすいとの事。


樽を寝かせているエリアは上から眺めるような形ですね。
下のほうに小売りしていた樽がありました。3年寝かせて瓶詰めまでしてもらえて30万円で売りに出されていたのだとか。この辺はどう捉えるかは人それぞれでしょうが、自分は安いと感じましたね:)

一つ気になったのは貯蔵エリアが明るい事。
大抵、樽を寝かせた部屋って薄暗いんですよね。
薄暗い静かな部屋で子供のように樽を寝かせていると言う雰囲気が個人的に好きなので、ちょっと残念に感じてしまうなぁと思いました。まぁ味には関係ないでしょうけどね。



最後は海が見える素敵なバーラウンジで試飲です:)


今回は各ポットスチルの酒質の違いを感じる為にニューポット2つと、8ヶ月寝かせた嘉之助ニューボーンを頂く事に。他にもメローコヅルなんかも試飲させて頂きました。

ちなみに運転手用にこれらを小瓶に入れ替えて持ち帰れるようにもして貰えるそうなので、運転手でもこれらを試飲する事が出来ます。ありがたい配慮ですね:)

担当の女性の方と色々と話をしましたが、色々と試行錯誤を繰り返す蒸留所での仕事がとても楽しそうで好印象でした。熟成樽もメローコヅルで使っていた再生樽や新しくワイン樽を使ったり、日々試行錯誤を繰り返している様子。まだまだ味が定着するのは先かもしれませんが、今後も追ってみようと思える蒸留所でした。

ホテルに戻ってブラブラしながら夕食を食べれるお店を探したら、ホテルのすぐ近くに個人営業の居酒屋さんを発見。


せっかくの鹿児島なので薩摩焼酎に地鶏のタタキを頂きました。安くて美味しい名店でした:)

余談ですが南九州では昔から鶏を生で食べる食習慣があるのですが、鶏の生食はカンピロバクターなどの罹患リスクがあり基本的にアウトです。しかし、宮崎や鹿児島県などではそういった食習慣のニーズに応えた独自の厳しい衛生基準があって、生食用に育てられた鶏を、さらに食中毒のリスクを極力抑えた調理基準で作られる「鶏の刺身」があるんですよね。お店で出てくる鶏のタタキなんかは基本的にそういった類のものだから大体安心です。

ただ、田舎の方にいけば未だに生レバーなんかを出すお店もあります。一応自分で焼いてね、といった体で出されますが、明らかに生で食べる前提で出されます。生レバーは滅茶苦茶美味いから誘惑される気持ちは分かりますが、生食のリスクは大きいので熊本以南に行かれる方は注意されてくださいね。新鮮とかそういうの全然関係ありませんし、有名店でもシレっと普通に出てきますから。


さてさて、ホテルで一泊し、次の日の朝に本坊酒造の津貫蒸留所を目指して移動します。


伊集院あたりはお茶の生産地らしく、のどかな田舎の風景が延々と続いていてドライブをするだけでも良い気分ですね:)


一時間ほどで津貫蒸留所に到着です。
津貫蒸留所も比較的新しい蒸留所ですが、基本的にツアーは特定のイベントなどの時だけで、通常は自由見学と言う形のようです。GW中ということもありツアーは無かったので見学だけですね。


受付で見学用のパスと簡単な案内図を頂いて早速見て回ることに。


1980年代まで鹿児島の蒸留所でウイスキー生産に使われていた蒸留釜。いかにもな感じですが、どんな味がしたんでしょうね。


本坊酒造の歴史にはあまり興味は無かったのですが、ガイドを読んでみると想像以上に長いですね。



大量の麦芽が入った袋。一つの高さは2mほどです。
当然ですが、大量のモルトを使うんだなぁと部屋いっぱいにギッシリと押し込まれたモルトの袋を見ながら感慨深くなります。


津貫蒸留所の見学は基本がフリースタイルなので、案内板とビデオでの説明が分かりやすく作られています。初めてウイスキー蒸留所を見学するという人は自分のペースで学べて良いんじゃないかと思いました。ここで分からないことがあったら別の蒸留所の見学の時に聞いたりするのも良いかもしれません。


蒸留器の傍らに無造作に置かれている数字の羅列が書かれたノート、気になります…(’ー’


樽の貯蔵庫ですね。
写真の自動露光で明るくなってますが、実際はもう少し薄暗くて静かな雰囲気です。いかにもな感じの貯蔵庫で、樽の合間から蒸散した天使の分け前のちょっとしたウイスキーの香りが部屋中に包まれていて、いるだけで幸せになれる空間でした。飲めたらもっと幸せだったのですがw

最後に売店兼バーの寶常でお買い物。
運転手なので飲めないのですが、とりあえずどんなラインナップかとバーの方も拝見したら、なんと飲んでみたかった駒ヶ岳の27年が!Σ(’-’;)

泣く泣く断念ですが、他にも本坊の社長さんの飼い猫をラベルにしたキャットシリーズの試飲も出来るようで、ここまで充実した内容だと知ってたら旅程をいじってたんだけどなぁとちょっと後悔w

とりあえず、蒸留所限定のウイスキーと焼酎をお買い上げして帰路に着くことに。

帰りも相変わらず酒屋を巡りながらです。
やはり薩摩焼酎の本場と言うこともあり、ウイスキーがおいているお店は少ないですね。日置市内のある酒屋さんは古酒のウイスキーの在庫は蔵に山ほどあるけど、転売するつもりで寝かせているとの事で断念。


しかしまぁ、たまにはこういう面白いお店も。
ジャックダニエルを40、43、45度でそれぞれ値段を変えて売る辺りがユニークですね。


バーボンのラインナップが良い感じでした。
ただまぁ、お値段が・・・(’=’

個人的に気になったのはフォレスター96で、これはオールドフォレスターがアトランタ五輪の際に作った記念ボトル。バーボン冬の時代真っ只中の一品なので割かし良い原酒が使われてる期待値は高い筈・・・なんだけど、店番をしていたおばあさんと交渉出来なさそうな感じなので断念。息子さんがそろえていたから私には価格交渉してよいのか分からない、息子はまだしばらく戻ってこないと。たまにありますよね、このパターン・・・(’=’

そんなこんなでうろうろ回っていたら、駒ケ岳シリーズが10本ほど並んでいる酒屋を発見。端には駒ケ岳27年も。さすがに空箱だろうと思って何気なく聞いてみたら、なんとすべて中身は入っていて売り物だと言う。さすがは本坊酒造のお膝元。

駒ケ岳27年が8万くらいとの事なので定価(7万4千円)より若干高いくらいだけど妥当な金額。気にはなったが、好みか分からない代物に8万は厳しい…と見送り。もしも津貫のバーで27年を飲んでいて刺さっていたら旅行のノリで思い切って買っていたかもしれなかったのだけど、来月のイベントを考えるとやはり買わないのが正解w

でも、せっかくこれだけ駒ケ岳が並んでいるのだから一本くらいガチャ引く感じで買ってみるかと思って買ったのは屋久島エイジング。本坊酒造が屋久島にウイスキー専用の貯蔵庫を持っているって知ったのはここに来てからだったんですよね。面白そうだし、定価だから買う事に。

そんな訳で遅くならないように高速にのって帰宅です。
今回の旅行で買ったのはこんな感じ。


津貫蒸留所限定の駒ケ岳は3年物だけど梅酒樽の熟成品で中々面白い香り。限定の焼酎も上手い事乗せられて買ってしまいました('ー`;)

嘉之助は自分でニューポットをアレンジして楽しめるようにフレーバーをつける木片とセットで販売されていて、3年物以降のウイスキーをまだ販売出来ない蒸留所ならではの工夫といった所ですね。ジンも美味しそうだったので小瓶の奴を試しに一本買いました。

今回の鹿児島はこんなところでしょうか。
また機会があれば行ってみたいです。

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