2019年8月30日金曜日

倉吉 NA & 倉吉シェリーカスク


Kurayoshi Pure Malt Non-Age
63点
セメダイン香強い。口に含むと軽く華やかな柑橘系のフルーツ感が少し。
若干辛いが加水率が高めなせいか強いと言うほどではない。
典型的なハイランドモルトの特徴。飲み口は優しい方。

Kurayoshi Pure Malt Sherry Cask
60点
シェリー感が乏しい。チョコやトフィーの要素が少し。
インパクトに乏しく、テクスチャの広がりもいまいち。


以前倉吉でこんな記事を書いたことがあります。
今更ながら倉吉の事

あれから数年経ちましたが
ついに倉吉を飲む機会が訪れましたw

自分で買うほどじゃないしなぁと食指は動かず、しかし飲んでみない事には評価できないからと色々なバーに立ち寄った際に探してはいたのですが・・・、無いんですよね、倉吉。それなりにちゃんとモルトを扱ってそうな店にしか顔を出さないからってのもあるんでしょうけど、本当に見つかりませんでしたね。何処にでも売っているのに。近くて遠い存在でした。

そんな折、たまに顔を出すバーで以前旅行で買ったお土産のウイスキーを寄贈してお客さんに振舞っていただいた事があったのですが、その時にいた方が私が倉吉を飲んでみたいといっていた事をマスターから聞いて、なんとわざわざ自分のボトルをお店に持ってきてくれていたのだそう。ありがたいお話ですね。感謝しつつありがたく頂く事に('-'*

で、飲んでみた感想ですが・・・、ぶっちゃけ不味くはないです。
というか美味しい普通の「スコッチ」です。スタンダードなハイランドモルトですね。比率は分かりませんがハイランドモルトの比率がかなり高い。何処の蒸留所のものかは分かりませんが、元々はちゃんとスコットランドの規定の下で作られたお酒なんで、売り方がどうだろうと酒質は決して悪く無いんですよね。


「でも、ぶっちゃけグレンフィディック12年のが熟成感あるし似た傾向の酒質だし、倉吉NAが4-5000円くらいでフィディック12年が3000円くらいだからフィディック買ったほうが良くね?」
「そうですね」
制作・著作
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ⓃⒽⓀ


別に倉吉をディスりたい訳じゃないんですけど、値段と内容を考えると大手が普通に出してるハイランドのシングルモルトで良いやんって結論になりますかね。自分はコスパ重視路線なので('-'

ちなみにもう一つのシェリーカスクの方は名ばかりのシェリーといった印象で、NAよりいけてないのが正直な印象です。

そんな訳で私の評価として、倉吉は純粋に高い、コスパが悪い。それだけですね。
中身はちゃんとした代物なので何かのキッカケで贈答品として頂いたといった事があったら美味しく頂ける、そんなお酒です。




さて、これ以降は余談です。
前回の記事を書いてから3年近くが過ぎました。しかし、倉吉から端を発した「日本のウイスキーの定義が緩い問題」は解決するような雰囲気は全く無い状況。

この状況について、日本の某ウイスキー界の有名人の方もこの問題を認識しつつ、しかし「世界にあわせて逆に定義が緩くなっていくのではないか」と仰っていたのだそう。

確かに、最近なんかは「ジョニーウォーカー ワインカスクブレンド」のように「あえて今までの常識からズレた試験的で意欲的な商品」が試金石のように世に出てきています。そして結構、高評価。自分もあの値段であの品質なら中々悪くないと思うんですよね。

ウイスキー消費量の増加、シェリー樽の不足、嗜好のマンネリ化、そして良質なウイスキーはすぐに高騰してしまって飲める金額ではなくなってしまう。こんな状況ですから売り手もあの手この手で幅を広げていくのが世界基準になってきているのかもしれません。

しかし、それでもやはり私としては日本の制度を見直すべきだと思うのです。


国内展開や資金調達の為に海外に売り出すだけならまだしも、海外の品評会に出して賞まで取るような事になるとやはり少し行き過ぎな印象が…。

受賞した熟成年数表記がある倉吉には自社で作っている酒は一滴も入っていない筈です。倉吉蒸留所が出来たのは平成29年だからです。しかし、何も知らない外国人が受賞を機にジャパニーズウイスキーに興味を持って倉吉の事を調べたら倉吉蒸留所の名前が出てきてきます。そして海外の倉吉の紹介サイトには松井酒造の操業年が1910年と書かれているので、古くからウイスキーを造ってきている会社だと誤認するのが普通でしょう。しかし中身は殆ど輸入したスコッチで松井酒造が作ったウイスキーは一滴も入っていない訳です。そういう状況を知った外国の愛飲家達がジャパニーズウイスキーというブランドにどういう印象を持つか…

世界の流れだからと、こういう事が出来てしまう状況を放置する事は日本の業界にとって決してプラスにはならないと思うんですよね。何とか法整備を見直す機運が高まって欲しい所です。

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