2017年10月4日水曜日

ヒルアンドヒル 1917-1933



Hill and Hill 50% ,The American Medicinal Spirits Co.
85点

凄く香り高く、複雑な香気。
カラメルのような甘さ、トウキビ、バナナ、若干薬っぽい。
ボディが強く、甘さも強い


禁酒法時代のオールドバーボン。
正確には禁酒法時代より前の時代に作られ樽詰めされ、禁酒法が終わったと同時に放出されたバーボンです。マスターとオールドボトルの話をしていたら、フラッとこんな代物を見つけてしまい、禁酒法時代のバーボンと聞いたらもう飲むしかありませんw


第一次世界大戦前に作られた、という意味で”Pre-War”の文字が書かれています。当時は第二次世界大戦はまだ開戦していませんから、Warと言ったらWWⅠの事ですね。

Hill and Hillという銘柄の下に書かれているBottled in Bondの文字は1897年に発令されたボトルド・イン・ボンド法に準じているという意味で、100プルーフ、つまり度数は50度で最低4年は寝かせているという事です。

禁酒法時代ではバーボンの一般向け販売は禁止されていましたが、薬としては処方が許可されていました。通常、一度の処方はハーフパインド(約235ml)でしたので、ちょうどこのボトル一本が薬として扱われていました。薬として売られていたからこそ、Medicinal=薬用という訳で、The American Medicinal Spirits(以下AMS)はアメリカ政府の機関だった訳ですね。まぁ、バーボンで成り上がった当時の成功者達はAMSから横流しして保管し、財を成したといった話は有名ですね。


ネックの封緘には1917年に作られ、1933年にボトリングされた旨が書かれています。おおよそ100年前に製造された15~16年もののバーボンですね。当時のバーボンとしてはやや長熟かもしれません。


ラベルからAMSのWarehouse Noは19ですが、DistilleryのNoは18だと読み取れます。
当時は政府管轄だったので、蒸留所や貯蔵庫にも逐一ナンバーが振られ管理されていたそうです。1917年に18番蒸留所で作られ、AMSの19番貯蔵庫で1933年まで寝かされたバーボン、という事でしょうか。

一般的にトレーサビリティでの同定が困難と言われるオールドバーボンの中でも、禁酒法時代のものは政府管轄だったせいかラベルからある程度信頼性のある情報が取れるところが面白いですね。各蒸留所に割り振られたナンバー表がネットに転がってるそうなのですが、まだ見つけれてません('-'


とまぁ、そんな訳でちょうど100年前のバーボンな訳ですが、正直びっくりするほど美味いです。本当にたまげましたw
100年も経ってると経年劣化も酷いだろうと思ってネタのつもりで(ものがものなので値段はネタではありませんがw)飲んでみましたが滅茶苦茶美味いです。以前驚かされたウィレットの25年に通じるような、甘くて濃いバーボンでした。

マスターから聞いた話ですが、当然ですがこの時代の物はやはり当たり外れがかなりあるそうで、店に出しているこの一品は比較的飲めると判断したものだそう。今まで幾つも外れを引いて、酷い物はとてもじゃないが飲めない代物なのだそうです。この辺りはオールドあるあるでしょうかね('ω'

とまぁ、貴重なオールドボトルを飲めて本当に満足です:)
皆さんも機会があれば是非。

2 件のコメント:

  1. これ、是非飲んでみたいのですが、どちらのお店なんでしょうか?

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    1. こんにちは、返信遅れました。
      お教え出来ますが、公開の場で言うのが適切か判断しかねますので適当なメールアドレスを教えて下さい。

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